大人の方も学生の方も、その他皆様お疲れ様です。
最近では障害のある方の地域参加が増え、街中で見かける方も多いのではないでしょうか?
今回はちょっと変わった介護の実話物語、
映画「最強のふたり」の
あらすじ・感想(ネタバレなし)を紹介していきたいと思います。
(C)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
一言あらすじ:体が不自由な富豪と、その介護人となった貧困層の若者の実話物語。
一言感想:新しいことにチャレンジしてみたくなりました。
映画詳細
- 監督:エリック・トレダノ
- 制作:フランス(2011年)
- 上映時間:113分
キャスト
- フィリップ:フランソワ・クリュゼ
- ドリス:オマール・シー
- オドレイ・フルーロ
- アンヌ・ル・ニ
あらすじ
パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。
(映画.com 引用)
(シネマトゥデイ引用)
感想
まずこの作品のいい所は、無理に泣かせる演出がないということ。
ホームドラマ系の作品は、ラスト30分で、こうすれば泣くんでしょ?みたいなわざとらしい演出が多い気がします。
でもこの作品はノンフィクションということもあり、自然な流れで物語が進みます。
以下、見所を踏まえて感想を書いていこうと思います。
見入る冒頭、5分間
物語の冒頭は・・・
青年ドリスと、
体の不自由な富豪フィリップが
車でドライブしているシーンから始まります。
BGMはシリアスなのに、映像は爽快感にあふれています。
パトカーに追われ、どうするのかと思いきや、
いきなり「逃げ切る・逃げきれない」で掛けをする無茶苦茶な2人組。
ホームドラマと思って見始めた作品の冒頭がまさかのカーチェイス!
作品を間違えたかと思いました。
5分間であっという間に作品に目が奪われ、
そのあとは吸い込まれるように夢中で見終わりました!
そもそも、2人の出会いは…?
介護者の募集で集まった応募者のひとりとして現れたドリス。
順番に面接を待つ人を押しのけて、順番をぬかして部屋に入ります。
モラルや常識とは無縁の態度で
いきなり「書類にサインをして」と紙をテーブルに叩きつけます。
とりあえず、女性が「推薦はありますか」と面接を試みますが、
まさかの音楽のおすすめを紹介するドリス。
そこからの会話がもうメチャクチャです。
というのも、ドリスは面接なんてどうでもよくて、
ドリスの本当の目的は、”書類へサインしてもらうこと”でした。
就職活動をした証拠として、3枚の書類を集めると失業手当がもらえるのです。
「とにかくすぐにサインをして」というドリス。
フィリップは首から下が麻痺で動かない障がい者のため、
すぐにサインは行えない、翌日9時に再度訪問するように伝えたのでした。
この時のドリスの第一印象はとても無茶苦茶。
通常であれば、すぐに帰ってくださいと言われても仕方ないと思いますが…。
依頼者フィリップは負けず嫌いなのか、変わり者なのか。
ドリスの発言に怪訝な顔をしながらも、
正面から会話に挑むフィリップの姿がとても印象的でした。
新たな生活(仕事)の始まり
翌日、ドリスは約束通りフィリップの豪邸に再訪問すると、
訳がわからないまま家の中を案内されながら、1日のスケジュールを教わります。
これまでの勤務者はみんな1週間で辞めてしまっているとのこと。
ドリスは1ヶ月の試用期間をと自分の部屋を与えられます。
ここから新たな生活が始まります。
仕事はフィリップの身の回りの介護全般。
まずはストレッチ。全ての骨と筋肉を動かすこと。
皮膚と関節を良い状態で保つためのストレッチを毎日行う必要があります。
車椅子への移乗。シャワー。そして衣服の着衣。
フィリップは四肢麻痺(首から下 全ての麻痺)のため、全て介助者が行います。
初めてのお仕事となると、当たり前ですが全部初めてで大変ですよね。
ましてや住み込みで、やりたかった仕事でないとすれば、
働く意欲がわく人は少ないでしょう。
作品の中では、ドリスの
「こんなの俺の仕事じゃない!嫌だ!」というイヤイヤ期と
「やりたい!僕ならできる!」という、やりたい期が
面白おかしく混ぜ込まれています。
まずはじめのイヤイヤ期はストッキング。
フィリップは血行を促進するために、
ストッキング(おそらく着圧ソックス)を履く必要があります。
「俺は履かせられない!なんでもやるわけにはいかない…」と
駄々をこねるドリス。
でも、指導をしてくれているマルセルは昼食に行っているため、
結局我慢をしてストッキングを履かせるドリスなのでした。
まるで子供の成長を見ているようで微笑ましく見れるのが良いところ。
どの職種に関しても言えるのですが、
指導者さんは子供に教えるように、やさしく指導してほしいものです。
職場によって働き方が違うのだから、知らなくて当たり前なんですよね。
ドリスのコミュニケーション
ドリスの行動は無茶苦茶で…。
面接の時から秘書にナンパしたり、後日も口説いたり。
(相手にされていない。)
介護の仕事を教えてくれるマルセルにこんなのできないと騒いだり。
かと思えば、普通の人が普通にする
”当たり前なこと(車の助手席に乗るということ)”を
フィリップがしていないと気づくと、
「こんなのはおかしい。馬みたいに荷台に乗せるのは嫌だ」と言い出す。
隣にあった高級車にフィリップを乗せドライブを始めるという機転。
出かけようとしたところ、門の前に車が止まっていると、
車から引きずり出して乱暴に退かせるなんてことも。
乱暴で、ブラックジョークを語り、疑問に思った事を何でも質問する。
ほっとけない子供のようなドリスは
徐々にフィリップの周りの人物とも打ち解けていきます。
ドリスの誰に対しても正面からぶつかっていく姿勢は
見ていてスッキリするものがありました。
正面突破だから周りも正面からぶつかろうとするのでしょうか。
私も介護の仕事について学んでいますが、
こんなに対等に人と接することができる人はいないと思います。
度重なるハプニング
フィリップは度々発作を起こすことがあり、
その時のドリスの歩み寄る姿勢が優しさであふれているように感じました。
目の前で発作を起こした人がいたとして、
あんな対応が取れるだろうか。
フィリップの発作以外にも、
ドリス自身やドリスの家庭、
フィリップの養子の娘、いろんなところで問題が起こります。
そういったハプニングをどのように乗り越えていくのか。
それがこの作品の山場ではないでしょうか。
総評
個人評価:★★★★★(5/5)
まず物語の合間で流れるピアノのBGMがとても素敵。
合間合間に流れるピアノのBGMが
寂しげであり、優しげでもあり、心にズシンと残るものがありました。
ほっこりと温かくなるようなそんな感じです。
フィリップもドリスも介護を”する・される”という関係だけじゃなくて
今の”あり方を楽しむ”というスタイルがとてもいいなと思いました。
作品の中でさらっと語られる二人の過去。
共通して暗い過去を乗り切っての今。
通常ならば出会うことの考えられない富豪の障がい者と貧困層の若者。
冗談でも言っていいことと悪いことがあるとは思いますが
冗談すら言えない関係もよくないですよね。
「冗談」とひとことで言っても、相手をただバカにするような冗談ではなくて
相手を対等に思えるからこそ出てくる、
友達や仲間に言うような冗談が言える関係というのは
社会人になってから築けていない気がします。
そしてこの作品が実話だと知って
人生何があるのかわからないもんだなぁと思いました。
ドリスは書類にサインが欲しくて受けた面接に受かり、
フィリップの介護という全く初めての仕事についてみたからこそ、
できた人との繋がりは、すごく大きなものだったのではないかと思います。
私も今に満足しないで新しいことをやってみたい。
そう思えた作品でした。
また、いろんな人と出会っていろんな価値観を知り、
でも自分の芯は曲げず、正しいと思うことを行う。
作品の中でドリスは何度も駐車違反の声かけを行なっていました。
ちょっとした声かけからでも実践できることがあると思います。
日本だと、声をかけただけで不審に思う、警戒の強い人も中にはいるとは思います。
例えば電車で体の辛そうな人がいた時、
声をかけるのが難しいのなら、静かに席を立つだけでもいいかも…?
小さなつながりから、
もしかしたら何かが始まるかもしれませんね。
ブラックジョークやちょっとした下ネタが苦手な人にはあまりおすすめできませんが、
ほっこりしたい人、スッキリしたい人、
何かを始めて見たい人、ちょっと疲れている人に、是非みて欲しい作品です!!
『最強のふたり』ハリウッドでリメイク!?
タイトルは「the Upside」
リメイク版のメイン出演者
- ドリス:ケヴィン・ハート
- 大富豪フィリップ:ブライアン・クランストン
- アシスタント:ニコール・キッドマン
CMを見た感じでは、英語は全然わからないんです…笑
けど、見た感じ、最強の二人よりも
はちゃめちゃ感が増しているような気がします!
後悔は来年1月11日より全米公開予定。
「最強のふたり」がとてもよかったので、
どのような作品に仕上がっているのか楽しみです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
またお越しください。
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