こんばんは、クジです。
現在、超高齢化社会となっている今、
認知症が問題視されているのはご存知でしょうか?
今回は認知症のひとつ、アルツハイマー病にかかった女性のおはなし。
映画「私の頭の中の消しゴム」のあらすじ・感想を紹介していきたいと思います。
一言あらすじ:主人公スジンが若年性アルツハイマーにかかってしまう。
一言感想:難病映画というよりは純愛ドラマという感じでした。
映画詳細
- 監督:イ・ジェハン
- 制作:韓国(2004年)
- 上映時間:117分
- 原作:日本のテレビドラマ『Pure Soul〜君が僕を忘れても〜』(2001年、読売テレビ制作)
キャスト
- チェ・チョルス:チョン・ウソン
- キム・スジン:ソン・イェジン
- キム社長(スジン父):パク・サンギュ
- スジン母:キム・ヒリョン
- ソ・ヨンミン室長(スジンの元不倫相手):ペク・チョンハク 他
あらすじ
お嬢様育ちのスジン(ソン・イェジン)と、愛に懐疑的なチョルス(チョン・ウソン)は恋に落ち結婚する。2人はさまざまな困難を乗り越えて一層愛を深めていくが、幸せな日々はそう長くは続かなかった。
アルツハイマー病はどんな病気?
この作品の題材となっているアルツハイマー病は認知症という疾患のひとつです。
そもそも「認知症」は病名ではなく、
認識や記憶、判断したりする力が障害を受け、
社会生活に支障をきたす状態のことを言います。
アルツハイマー病は、医療の発達しつつある現在でも、
「進行を遅らせる」薬はあっても、根本的に「治す」治療法はないそうです。
振り返りながら感想
難病ものの作品は
あまり見る機会がなかったのですが…。
私自身の年齢が上がってくると、
身の回りの方などをきっかけに
病と関わることが多くなりました。
最近、認知症の方と関わることがあり、
見てみようと思った作品です。
運命の出会いは衝撃的
物語の始まりは、主人公スジンが悲しむ姿から。
スジンは、
不倫相手の上司と駆け落ちをしようと
駅のホームで待っていましたが、
相手は来ませんでした。
その帰り道のコンビニで、
スジンはチョルスと出会います。
コンビニでコーラを買ったものの、
商品を受け取り忘れてコンビニを出てしまったスジン。
取りに戻ると、コンビニの出入り口で
背の高い男性がコーラを持っていたので…
「取られた!」と勘違い。
男のコーラを横取りして飲んでしまいます。
ご丁寧にゲップのおまけ付き。
そしてバスに乗ろうとした時、
財布がないことに気づき、コンビニに戻るスジン。
財布とコーラは店舗で保管していてくれました。
コーラ、取られてなかった…。
後日、仕事で店舗の改築に業者が必要となり、
スジンは父親に頼んで改築業者を呼んでもらいます。
紹介でやって来たのは、
コンビニで出会った男性でした。
スジンは居たたまれなくなり、一旦姿を隠します。
自販機でコーラを買うスジン。
受け取り口に出てきたコーラを取り出そうとした時、
横から伸びて来る手。
あのコンビニでの仕返しをされます。
ご丁寧にゲップ付きで。
スジンの勘違いが原因で出会い、そして再会する偶然。
普通に道ですれ違うだけなら印象に残りませんが、
衝撃的な出会いがあったからこそ、
次に会った時に覚えているものですね。
できるならもっと素敵に出会いたいものですが(笑)
価値観や生活観の不一致
付き合っていると出てくるのが
価値観や生活観の不一致。
どのカップルでも
必ず一つはあるのではないでしょうか?
例えば目玉焼きには
ソース派、醤油派、マヨーネーズ派など…ですかね。
こんな些細なことでもめることはないとしても、
家族や家庭環境が変わる「結婚」となるとまた別です。
スジンとチョルス、二人の交際が始まった後、
スジンは結婚を意識しますが、
チョルスはなかなか前向きに検討ができません。
スジンは社長令嬢で、
チョルスはスジンの父の下働きである身分。
そして、チョルスの過去の気がかりがあるからでした。
食事の最中で喧嘩を始める二人の元に
スジンの家族がやってきます。
スジンがこっそり仕組んだものでしたが、
家族がやってきたタイミングがなんと悪いこと。
黙るチョルスとスジンの父。
この空気に耐えられず席を立ったスジン。
気まずい空気で待つ家族とチョルス。
外がざわざわしだし、
駆け寄るとスジンが倒れているのでした。
即座にお姫様抱っこして走るチョルス。
医者によると極度のストレスと貧血で倒れたとのこと。
この時のチョルスのスジンに対する想いと
スジンが目を覚ました時のチョルスを求める仕草に
父は二人を認めた様子でした。
大事な娘を
職場の顔見知りの男にもっていかれる父の気持ち…。
想像はできませんが、
寂しそうな表情は捨てられた子犬のようでした…。
新婚生活から一変
チョルスはスジン家に認められ、新婚生活を開始。
チョルスは建築士の資格を取り、仕事も順調に。
毎日が幸せで、友達の前でもニヤニヤするスジン。
そんな幸せいっぱいのスジンにも悩みがありました。
「こんなことない?いつも歩いている道で迷うこと。」
「最近家に帰る道がわからなくなる」
友達に打ち明けますが、
「そこまでいくと認知症のおばあちゃん」
「夜頑張りすぎなんじゃない?」
と笑い飛ばされてしまいます。
その日の夜、不安そうに家に帰るスジン。
自宅を見てもしっくりこない様子。
鍵を指して確かめて、部屋に入ってホッとする。
ここからスジンが徐々に病に犯されていきます。
病と自覚するまでの時間
「こんなことない?いつも歩いている道で迷うこと。」
「最近家への帰り道がわからなくなる」
そう打ち明けてから、一度病院に足を運んだスジン。
「過度のストレスだろう、念のために来週MRIとCT撮影をしよう」と
医師に言われるも忘れてしまうのでした。
”なんかおかしいな…”と思っても、
自覚しづらいのがこの認知症ではないでしょうか。
例えば、中耳炎や胃潰瘍など、他の病気であれば、
痛みや吐き気など、体からサインを出してくれるので、
病気に詳しくなくても病院に行くでしょう。
でも自覚がなければ病院に行くことはないだろうし
かすかにある自覚ですら忘れてしまうのであれば、
病院に行くことも忘れてしまうかもしれません。
そして半月ぶりに尋ねた病院では
不思議な質問をされます。
「今日は何日?」
「妹の生年月日は?」
「横断歩道をを渡れるのは信号は何色の時?」
困惑したスジンは質問の途中、
「どうしてそんな質問をするのでしょう?」
と質問したことで直前の質問を忘れてしまいます。
短期的な記憶が保てなくなるのも認知症の特徴です。
物忘れは誰にでもあるのですが、
ヒントなどがあれば思い出すことができます。
また、答えを聞いた時に、
「ああ、それだ!」と思えるのも、以前の答えを
頭の片隅で覚えているからなんですよね。
当たり前にできていたことが
だんだんとできなくなっていく様子が
見ていて辛かったです…。
不倫相手の追い打ち
病院を後に職場に戻ると…
不倫相手だった上司が他部所が潰れたため、
会社に戻ってきます。
これがスジンに追い打ちをかけたのか、
自宅でも不思議な行動が多々現れ始めるのでした。
次に病院に行くと、
「遺伝的な要因のアルツハイマー病です。」
以前の質問は認知症かどうかを調べるためでした。
27歳という年齢に比べて、
あまりにも早い症状の深刻に困惑するスジン。
「これからどうなるんですか…?」
「肉体的な死より精神的な死が先に訪れる
薬で進行を遅らせることはできても、ただの気休め。
会社は早くやめたほうがいい。
書類の整理も何もできなくなる。
家族や友達のことも自分が誰かもわからなくなる。
少しずつそうなって…
やがて全ての記憶を失うんだ。」
そう告げられたスジン。
家に帰り、チョルスには病気のことは告げず、
「会社を辞めようかな」と弱音をこぼします。
翌日チョルスを見送るスジンの表情が切ない。
スジンが家でゆっくりしていると、
会社から連絡があり、会社に出向くスジン。
ですが、途中で様子がおかしくなります。
携帯出ることもできず、携帯は落としてしまった様子。
ぼーっとした表情で
警備員に連れられ歩いていると
不倫相手の上司ヨンミンと出会い、話をすることに。
記憶が混乱しているため、ヨンミンと話が噛み合わず。
話の途中で記憶が戻り、
スジンは慌ててその場を立ち去るのでした。
同日、妻の病気を知ったチョルス。
夜バッティングセンターでスジンを見つけ
歩み寄るチョルス。
自分の病気を知ったチョルスに
スジンは別れを告げます。
「永遠の幸せなんてない。記憶が消える。
幸せとか愛とかそんなの無意味。
忘れちゃうから優しくなしないで。」
目に涙をためながら訴えるスジン。
それに対抗するように
目にいっぱい涙をためながら
「全部覚えとく、俺は頭がいい」
「俺に任せてくれ、俺が君の記憶で君の心なんだ」
と訴えるチョルス。
喧嘩したり、チョルスと家族の対面で倒れてしまったり
乗り越える壁が大きくて、
それでも乗り越えた結婚生活。
幸せの背景があったからこそ、
残酷な病の進行を見ていると
涙を流さずに見ることができませんでした。
だんだんと記憶が消えていくスジン。
チョルスの顔を見ながら
「ヨンミンさん、愛してる」
そう告げるスジンの優しい表情。
違う名前を呼ばれても振り返り、
優しく対応するチョルス。
涙のクライマックス
そしてクライマックス。
ふとした時に記憶が戻り、涙するスジン。
そして置き手紙を残して家を去るのでした。
手紙をよむチョルスの姿、
溢れ出る涙と悶える姿を見て
涙を流さずに見れる人は少ないのではないでしょうか。
そしてある日突然スジンから届いた手紙。
郵便のハンコを頼りに施設を探し回るチョルス。
施設に訪れた時、スジンはチョルスを思い出せず。
「どなたですか…」
と困った表情のスジン。
いい匂いだと言ってくれた化粧水を嗅いだ時、
「どこかで嗅いだ香り…」と考えるスジンでしたが、
思い出すことはできませんでした。
その様子に涙するチョルス。
記憶の片隅に語りかける匂いでも
思い出してもらえませんでした。
すごく悲しくて辛くて、
それでも誰を責めることもできない。
このアルツハイマーという病は本当に厄介ですね…。
チョルスは病院に許可をえて、
スジンを外出させます。
外出先は、二人が初めてあったコンビニ。
店員に扮装するドクターとチョルスの育ての師匠
客を装うスジンの家族と チョルスの母親。
そして隣にチョルスが立ち、
「ここは天国なの…?」
そういって涙を流すスジン。
記憶を取り戻し、車に乗り込むスジンとチョルス。
そこでチョルスは
これまで一度も言えなかった「愛してる」を
スジンに告げ、エンドロールとなりました。
すごく寂しいお話でしたが、
家族みんなが優しく、とても幸せな話だと思いました。
総評
個人評価:★★★★(4/5)
映画を見てこんなに泣いたことはない!
と思うほど涙が止まらない作品でした。
前半のスジンとチョルスが付き合うまでと
付き合ってから病にかかるまでは
個人的に中だるみする印象がありましたが…。
チョルスがスジンの病を知った後、
バッティングセンターでの2人のやり取り。
前半の様々な音大があったからこそ
より二人の辛い気持ちが引き立って、
泣かずにはいられなかったのだと思います。
そして時々戻るスジンの記憶。
彼を傷つけたくないのに傷つけてしまった…。
記憶があるうちに気持ちを文字に、手紙にする。
ハングル文字は読めませんが
記憶があるうちにと焦って書いているような筆跡を見て
さらに涙しました。
病気に焦点を当てているのではなく、
恋愛映画として書かれているように感じました。
病気に関しての描画はサラリとしているのですが
それがまたいいのかもしれません。
より感情移入できる。
ただ涙の波が多すぎて、
途中で疲れてくるのが難点…。
そして、散々泣いたくせに、
見終わった後にこんなに綺麗な人生はあり得ない!
と思ってしまう、ひねくれた私(笑)
最後「ここは天国なの?」というスジンのセリフ、
とても綺麗で素晴らしいのですが
ここまで散々綺麗に物語をまとめているので
病院で再開したところで話を終わらせてしまっても
よかったのではないかなぁ。
コンビニのくだりが整いすぎていて…。
ひねくれた思考も踏まえて、今回は星4つです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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[…] 今回は、映画「私の頭の中の消しゴム」でも取り上げられた認知症のひとつ。 […]